サヨナラのしずく
心の準備ができていないと言えば、言い訳になるだろうか。



でも、初めて感じる感覚が怖かった。



あたしから離れた俊平は立ち上がりTシャツをきた。




「……ごめん」




なんだか俊平が怒っているように見えて謝った。



「謝るなよ。余計に悲しいだろうが」




ちょっと笑いながら、そう言った俊平の声は全く怒ってなくて優しい声だった。




「お前が嫌がることはしねぇって言ったろ?でも早く心の準備しろ。そんな待てねぇからな」




俊平はあたしの気持ちをわかってくれているだと思った。



それがどうしようもなく嬉しくて、そんな人は俊平だけだと思った。




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