サヨナラのしずく
「今は親父さんの組継いでんだ」


「組?」


「あー、やくざだよ。本職ってことだ」





やくざ?


そんなあっさり言われても、あたしには無縁すぎてちょっと戸惑う。





「俊平、やくざになるの?」


「…お前が嫌ならならねぇよ」




ちょっと間を開けて答えた俊平は本当はどう思ってるんだろう。



本当はやくざになりたいのかな?




「俊平がなりたいなら別にいいよ。どうせ今もあまり変わんないよ」


「なんだと?」




ふたりでケラケラと笑っていると、俊平が頼んでくれた食べ物がきた。



あたしはそれに手を伸ばし食べ始めた。




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