サヨナラのしずく
あたしは俊平の部屋につれてかれ、ソファーに座らされた。



入れたばかりの冷房の風があたしにあたり、少しひんやりとする。



俊平はあたしの隣に座り、横から痛いほどの視線を感じる。



それでもあたしは気づかないふりをしていた。





「どうした?なにがあった?」




優しく聞いてくる俊平になんだかムカついた。



いきなり機嫌が悪くなったあたしに怒るように聞いてくれたら、勢いで何もかもぶちまけられるのに。



でも俊平は優しいから、あたしは何も言えない。




「別になにもないよ。ちょっと疲れただけだって」




俊平はただ黙ってジッとあたしを見てくる。






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