サヨナラのしずく
「大事にしてって言ってない!」




あたしは泣きながら俊平にそう言い返した。





「大事になんてしてくれなくていい!どうせあたしはナオさんの変わりにはなれない!」


「………」


「ナオさんのこと忘れて、あたしを見てよ!」




あたしは嗚咽しながらそう口にしていた。




俊平はそんなあたしに何かいい返すことなく、ただ黙って背中を擦っていてくれた。





「俺、ちゃんとお前のこと見てるぞ。毎日雫のことばっか考えてる」





優しい声で背中を擦りながら俊平はそう言ってきた。



あたしは擦られているのが気持ちよくて目を閉じながら聞いていた。





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