サヨナラのしずく
その後、30分ほど投げてあたしたちはようやく帰ることになった。



本当はまだ帰りたくなかった。



でも俊平だってこの後、遊びにいくかもしれないしあまり我が儘は言えないと思った。



あたしは俊平に送られタクシー乗り場まできた。




「じゃ、また明日な」


「…うん」


「気ぃつけて帰れよ」




そう言って、俊平はあたしの肩に回している腕を離した。





「…たくない」


「なんか言ったか?」




小さな声で呟くように言ったのに俊平は聞き逃さなかった。




「別になにも」


「嘘つくんじゃねぇ。帰りたくねぇって言ったんだろ?」





絶対聞こえなかったくせに。


なんでわかるの?




< 201 / 358 >

この作品をシェア

pagetop