サヨナラのしずく
俊平は再びあたしの肩に腕を回した。




「行くぞ」


「え?」


「帰りたくねぇんだろ?」




あたしは声に出さずに俊平を見て頷いた。




「早く言えよな。お前が帰りたくねぇのは何時間も前からわかってんだよ」




俊平はわかっていたのにあたしの口から言うのを待っていたんだ。



それならもっと早く言えばよかった。




あたしと俊平は歩いてきた道を再び戻り歩いていた。




「お前さ、親いねぇの?」


「え?」




いきなり聞いてこらて驚きながら、俊平を見上げた。






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