サヨナラのしずく
親なんかいなくても俊平さえいればいい。




神様なんて信じていないけど、でも俊平は神様があたしを哀れんで咲かせてくれた花だと思った。



何もないあたしの砂漠みたいな心に、咲かせてくれた花だ。




あたしは繁華街だと言うことも忘れて俊平に抱きついた。





「家まで待てよ」





俊平はそう言いながらあたしの背中に腕を回してくれた。



そして頭を優しく撫でてくれる。





「早く離れろよ。ジロジロ見られてんぞ」


「うん、別にいい」




俊平はそう言いながらもあたしから腕を離さなかった。






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