サヨナラのしずく
お祖母ちゃんの病気のことを聞かされていなかったあたしには突然のことだった。



もうすぐで中学を卒業するって言う、寒い冬の出来事だった。





「あの日の朝、なかなか起きてこないお祖母ちゃんを起こしに行ったら冷たくなってた」




あの日の朝は今でも思い出すと心が凍ってしまいそうになる。



怖かった。



お祖母ちゃんが死んだことも何もかもが怖く思えた。




「どうしたらいいかわかんなくて、あの人に電話した。だけどあの人は来なくて来たのはあの人の事務所の人だった」




俊平はあたしの背中を優しく擦ってくれる。




「それからは事務所の人が全部やってくれて、あの人が来たのは翌朝のお葬式だけだった」





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