サヨナラのしずく
泣くあたしを俊平は黙って背中を擦りながらいてくれた。



そして抱き締めたままやっと言葉を発した。





「お前、今は誰と住んでんだ?母親か?」


「ううん、ひとりだよ。お祖母ちゃんと一緒に住んでいた家は、あの日の朝を思い出してしまうからどうしても嫌で新しいマンションを用意してもらった」





さすが人気女優だけあってマンションやお金は何不自由ないくらい与えられている。





「そうか。今までひとりで寂しかっただろ」


「………」





死ぬほど寂しかった。



だけど、ここまできても口には出せない。




「俺がお前全てになる」


「え?」




あたしの全て?



どういう意味かわからなくて、少しだけ顔をあげ俊平を見る。




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