サヨナラのしずく
俊平は何度も「俺がいるから」と言いながらあたしを慰めてくれた。



そのおかげか震えが止まった。




「なぁ、雫」


「なに?」


「本当は俺も寂しかったんだよ」


「え?」




あたしは俊平の言葉に驚いた。



だってさっき自分の話をしてくれていた俊平はいつもと変わりなかったから。





「親に捨てられて自分がどこの誰かもわからねぇし、流れのまま椿連合にはいって、カズキやナオに出会ったけど、ナオはいなくなるし、俺ってなんのために生きてんだろって思ってた」





こんな話をする俊平は初めてだった。



今まで隠されていた俊平の弱い部分なのかもしれない。




「だけどお前となら寂しいのとか全部分かち合える気がする」


「うん、俊平にはあたしがいるよ」


「わかってる」




俊平は鼻で笑いながらそう言うと、痛いくらいにあたしをギュっと抱き締めてきた。




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