サヨナラのしずく
大事にしてくれてるのはわかる。



だけど、抱かれたいって思うんだよ。



女のあたしがそんな風に思うのはおかしいかもしれないけど。




「……なんで?」


「ん?なにがだ?」


「なんで抱かないの?」




こんなことを口にするなんて、あたしだって自分が恥ずかしい。



だけど聞かずにはいられない。



もう限界だったから。




俊平はあたしの問いにはすぐに答えてくれなくて沈黙続く。



こんな恥ずかしいこと聞かなかったらよかったと思いかけたころ、俊平は腕枕をしてくれている腕をあたしから引き抜いた。



そして、上からあたしを見下ろしてくる。





< 217 / 358 >

この作品をシェア

pagetop