サヨナラのしずく
忘れるわけがない。



俊平があたしより優先させたこの人を。




「シュンから聞いたの?」


「うん」


「じゃ、どういう関係かも聞いてるの?」



「聞いてる」




俊平の昔付き合っていた彼女の妹だってちゃんと教えてくれた。




「自分だけ幸せになろうなんて絶対許さない!」





今までの言い方と違い、怒りがこもったようにマミさんはそう言った。



「シュンの人生もめちゃくちゃにしてやる」



そう言って、テーブルの上に置いてあった雑誌をあたしに目掛けて投げて来た。



そしてそれは抵抗もせずにいたあたしの胸へと当たった。






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