サヨナラのしずく
こんなにあたしが泣いていても俊平の腕があたしに伸びてくることはない。



さっきマミさんに伸ばされた俊平の手はあたしにはもう伸ばされることはないんだ。





「俺も最近まで知らなかったけど、ナオが死んだのは俺のせいなんだ」


「…………」


「俺が総長やってたせいで怨みを買って、ナオがレイプされた」





聞きたくないのに俊平は話を続けていく。




「俺から離れたのは自分が汚れたから俺のそばにいれねぇって思ったらしい。それであいつは俺の前から姿を消した」




俊平がナオさんのことをあいつって呼んだ。



あたしが嫌がるって知っているのに。




「なのに俺は何も知らねぇでナオのこと探しもしなかった。多分あいつは俺に探して欲しかったんだと思う。だからあいつはトラックに自ら突っ込んで自殺したんだ」




自殺?事故だって聞かされていたけど本当は自殺だったんだ。




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