サヨナラのしずく
「……できない」




あたしには俊平を止めることなんて出来ない。



俊平がどう荒れているのかはわからないけど、わざとだと思う。



あたしがこのまま死んでもいいかなと思ってご飯を食べなかったのと同じだと思う。





「シュンさんが死んでもいいのかよ?」




あたしは声を出さずに頷いた。



だってもう俊平と一緒にいられないんだったら、俊平が死んでも変わらない。




好きな人の幸せを願えるほど、あたしは出来た人間じゃない。




タクミさんはそれ以上なにも言わずに、誰かが持ってきてくれた食べ物をあたしに食べさせようとした。



だけど何を食べても吐き出してしまって、飲み物以外は喉を通らなかった。



それでもタクミさんは少しでも食べれるように何度も繰り返してあたしの口へと食べ物を運んだ。





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