サヨナラのしずく
ベッドに横になって何時間過ぎただろう。



いくら瞼を閉じても眠れない。



昨日は普通に眠れた。



タクミさんが自分の子どものころの話をしてくれて、いつの間にか眠っていた。


一昨日はタクミさんのお母さんの話を聞きながら眠った。



その前は、タクミさんの趣味のバイクの話を聞きながら眠りについた。



どれも興味のある話だったわけじゃないけど、誰かの話し声を聞きながら眠ることの安らぎを知った。




あたしはひとりで眠ることも出来なくなったのかもしれない。



だけど、今日からはひとりで眠るしかない。



ずっと一緒に眠っていた俊平も、昨日までいてくれたタクミさんもいないんだから。




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