サヨナラのしずく
壁には落書きだらけで、目の前のテーブルには煙草の吸殻が山盛りになった灰皿があった。



あとは机や椅子があって、とてもじゃないけど落ち着けるようなところじゃない。




「うわっ!ほんとだ!お兄ちゃんが女といる」




キョロキョロ見渡していると、可愛い女の子が勢いよく入ってきた。





「ユウカ、お前うるさい」


「えー!だってお兄ちゃんが女連れてきたって聞いたから!」




そう言いながら女の子はあたしの前に座った。




「はじめまして、あたしユウカっていいます!よろしくお願いします!」




そう言いながら差し出された右手をしばらく見つめてからタクミさんの顔を見た。




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