サヨナラのしずく
「こいつ俺の妹」


「うそ!」


「うそじゃねぇよ」




タクミさんに妹がいたって不思議じゃないのに、何となく勝手に一人っ子だと思っていた。



あたしも俊平も一人っ子だったから。




「タクミさんの妹?」





あたしは目の前に座るユウカと名乗った女の子の顔を見て聞いた。




「うん!妹です」




ユウカさんはそう言ってあたしに笑顔を向けてくる。



あたしはユウカさんがずっと差し出してくれている右手をゆっくりと握った。




「高野雫です」


「雫さん?よろしくね!」



ユウカさんはそう言って、握った手を勢いよく上下に降った。




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