サヨナラのしずく
「ちょっとうるせぇけど、悪いやつじゃねぇから」




隣に座るタクミさんがそう言うと、ユウカさんは「うるさいは余計だよ」と言いながら笑っていた。



兄弟ってこんな感じなのかなってちょっと羨ましくなった。



あたしもタクミさんの妹だったらユウカさんみたいに可愛い笑顔で笑えたのかな…?




「俺、ちょっと下行って来るからユウカと話でもしてて」


「うん」




タクミさんがそう言って出ていくとユウカさんが話しかけてきた。




「お兄ちゃんといつから付き合ってるんですか?お兄ちゃん、総長の間は女作らないとか言ってたのに雫さん美人だから惚れちゃったのかな?」


「あ、えっと、あたしたち付き合ってない」


「えー!付き合ってないの?」


「うん」


「うそー!付き合ってると思ってた!だってお兄ちゃんが集まりに女の人連れてきたの初めてだよ」




ユウカさんは口に手を当てながら驚いている。




「うん、付き合ってないよ!いろいろあってお世話してくれてるけど」


「あー、お兄ちゃん面倒見いいから!うち五人兄弟でお兄ちゃん一番上で、そのせいかな?」




面倒見いいんだ。



だから、あたしにこんなによくしてくれてるのかな?



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