サヨナラのしずく
「お前、あいつが名乗るまで誰だかわかんなかっただろ?」




オザワ君が去ったあと、早速お肉を焼きながら俊平が言ってきた。




「だって話したことないし」


「それでもクラスのやつの顔くれぇわかんだろ」




俊平はまた笑い出した。




「よく笑うね」


「お前は全く笑わねぇな」


「だって面白くないし」


「そうかよ」




俊平は焼き上がった塩タンをあたしのお皿へと入れてくれる。





「そんなに食べれないからいっぱい入れなくていいよ」


「これくれぇ食えんだろ」


「食べれないよ」


「食えよ。そんなに痩せてんじゃねぇよ」





そう言われても、あまり食欲がない。



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