サヨナラのしずく
俊平は少しずつあたしに向かって歩いてきた。



その姿は昔にガールズバーリンダの看板前で待ち合わせした時みたいだと思った。



もうあの頃とは何もかもが違うのに、どこかであの頃に戻りたいと思ってるかもしれない。



だけど、心のどこかでしていた淡い期待はすぐにうち壊された。




「シュンさん!!」




俊平の後ろから女の子が名前を呼びながらやってきて、スッと俊平の腕に自分の腕を絡めた。




俊平と別れてから1年以上もたつ。


新しい彼女がいたっておかしくない。




あたしはタイミングよく到着したエレベーターに乗り込んだ。



俊平が今誰といようが、幸せならそれでいい。



そう思える人間になりたかったんだ。




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