サヨナラのしずく
あたしは回りの人たちが死にすぎて敏感になってしまっているのかもしれない。



もう死を恐れるのはやめよう。





「……俊平」


「ん?」


「……好きだよ」




この前は“好きだった”って過去形で言ったけど、本当は今もずっと好きだよ。



あたしの中で俊平が過去になったことはない。




「タクミよりもか?」


「えっ?」


「言っただろ?タクミに嫉妬してるって」




嫉妬したのはお葬式の話じゃないの?




「女を作らねぇって言っていたタクミがお前と付き合って、お前らが思いあってたのはわかってる。だけど今日はタクミにお前をもらうって言いにきた」




俊平は勘違いしている。



あたしとタクミさんは付き合ってなんかいない。




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