サヨナラのしずく
タクミさんはただ無条件であたしに優しくしてくれただけだ。



恋人でも友達でもない。



多分、血の繋がりはなかったけど兄妹みたいな関係だった。





「なぁ、タクミ…俺にも雫が必要なんだ。だから俺の我が儘を許してくれ」




再び俊平はタクミさんに向かってそう言った。




「タクミさん…」




タクミさんはずっとわかっていたんだね。



あたしには俊平しかいないことを。



俊平が死ぬかもしれないとか、俊平のあの彼女の存在で不安はある。



だけど、俊平がいるだけでこんなにも幸せな気持ちになれる。



ありがとう、タクミさん。


本当にありがとう。




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