サヨナラのしずく
「雫ちゃんが高校を辞めたこと、ゆきは心配していてね。別に高学歴とかを望むわけじゃないけど、夢とか目標をもってほしいって言ってた」




母親とそんな会話を1度もしたことなんてなかった。



あたしに興味がないと思っていたから、そんな風に思っていたなんて本当に知らなかった。




「それで、ゆきなりに考えてこれを用意したんだよ。間に合わなかったけどね」


「本当にお母さんが?」


「そうだよ。ゆきは雫ちゃんが小学校の卒業文集で将来はケーキ屋になりたいって書いていたからって、パティシエの専門学校に行かせてあげたいって言っていた」




確かにあたしは小学校の卒業文集でケーキ屋さんになりたいと書いた。



だけど、そこまで本気で考えて書いたわけじゃなかった。




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