サヨナラのしずく
小さい頃からあまり夢がなかったあたしは何となく軽い気持ちで書いただけだった。




「学校へ行くかどうかは雫ちゃんの好きにしたらいい。だけど、ゆきの気持ちだけは受け取ってやって」


「はい」


「もし学校へ行こうと思うなら力になるから、また連絡して」


「ありがとうございます」



ヨネダさんは本当にいい人だ。



ずっと独身だった母親が唯一結婚したいと思ったたったひとりの人。



結局、病気が見つかり頑なに断り続けた母親のせいで結婚はできなかったけど。



それでもヨネダさんはずっと母親を支えてくれていた。



「元気ないかと心配してたけど、思ったより元気そうで良かった。彼のおかげかな？」



ヨネダさんはそう言って、視線を俊平へと向ける。




< 344 / 358 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop