サヨナラのしずく
「もっとギュッとして」




そう言うと、俊平は力を入れてあたしを抱きしめてきてくれた。



そして、あたしは俊平の腕の中で震えながら涙を流した。




俊平はずっとあたしを抱き締めてくれた。



そして、何度も何度もごめんって謝ってきた。




「……俊平、死なないで」



こんなことを言って俊平を苦しめるだけだって分かってる。



だけど、俊平が死ぬなんて嫌だ。




「俺だって死にたくねぇよ。でも死ぬならとことんお前を愛して死にてぇ。残りの時間全部お前にやる」






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