サヨナラのしずく
同じクラスの子なのにちゃんと名前を覚えていなかった。



ひとりは自信あったけど、あとの二人は曖昧にしか覚えていなかった。



あたしは俊平にその曖昧な記憶のまま名前を伝えた。




「お前記憶力いいんじゃなかったのかよ?」


「興味ないものは覚えない」


「へぇ、じゃ俺には興味あったってわけか」




からかうように俊平はあたしを見てくるけど、腕はさっきからずっとあたしを包みこんだまま。



すごく居心地がよい。




「あたし男ぎらいになったのかな?」


「それはねぇだろ。俺は大丈夫なんだし。大丈夫だ、ちょっとトラウマになっただけですぐに消えるから」


「うん」




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