紫クレヨン

「こらぁ−席に着かんか！ホームルームを始めるぞ。」

一斉に自分の席に戻る…。
もちろん、由斗も渋々と…。

「こんな微妙な時期だが、転校生を紹介する」

先生が言うと、一人の女が現れた。


げっ、また女かよ…この学校は女の方が男よりも多いのに…

「早田朱輝です。よろしく」

ショートヘアーが似合っている…いかにも馬鹿そうでうるさそうな女だ…。

俺は、興味がなかったから…机に頭を俯せて寝た。
朝練の疲れもあったからだ…。

「席は……おいっ！幸咲ｨ。何してんだお前は」

先生の棘のある声で俺は、驚きその場に立った。
意味がわからなくて…。

「それじゃあ、早田はあのｸｿ、幸咲の隣だ。彼はあんなんだが、根はいいから…」

えっ…嘘だろ？
転校生が俺の隣！
しかも女だと−！？

心の声がそう言っているが、実際はあまりにも急な話しだったこともあり、ただ俺は立ちすくむしかなかった。