溺愛王子とヒミツな同居
「食べるなら何か作るけど」
ようやく回り始めた頭で、ベッド脇の時計に目をやると、12時半を回っていた。
「作るって……大翔君が……?」
「ああ、何でもいいなら簡単に作るけど、それでいい?」
何が何だかわからないまま、頷いてしまった。
返事を聞いて、キッチンに向かおうとした大翔君がクルッと振り返る。
「何か掛けて寝ないと風邪ひくぞ。
それと部屋……勝手に入って悪かった」
――パタン。
「…………」
階段を下りて行く足音。
暫くベッドの上で呆然としていた。
今のって……大翔君に寝顔見られたってこと……?
そう思ったら、急に顔が熱くなった。
恥ずかしいという思いと、何とも言えない気まずさが私の胸の中で渦巻く。