溺愛王子とヒミツな同居
「別に普通だろ。特別な物は入ってないし」
「えっ!? そうなの?
私、女なのにこんなに上手に作れないから、羨ましいな」
こんなことなら、もっと料理をきちんとお母さんから教わっておくんだったと後悔。
「これから練習すれば、まりやだって上手くなる。
最初から上手く出来る奴なんていないんだし、落ち込むことねーよ」
頑張ってみろ。
そう言ってくれてるような言葉。
嬉しくて、私も頑張ろうって思えた。
機嫌よくお昼を食べてると、また笑ってる大翔君。
「そんなに可笑しい?」
あんまり笑うから、何だか恥ずかしくなってきた。
「悪い。何か子供みたいだと思って」
「酷いよ。これでも高校生なのに」
「そういう意味じゃない。
子供みたいに素直だって言いたかっただけだよ」
相変わらず笑い続ける大翔君の手が、急に私の口元に伸びてきて、すぐに戻っていく。
さりげない行動に胸が高鳴る。