溺愛王子とヒミツな同居



初恋で、ずっと会いたかった人が触れられる距離にいるんだから。



「大翔君、お帰りなさい」



私のことを不思議そうに見た大翔君は、大きく目を見開く。



「突然で意味わからなかったよね。

また幼なじみとして、再会できてよかったって意味で、お帰りなさいって言ったんだけど」



こんなこと言って、今さらだって思われるかもしれないけど、やっぱりちゃんと言いたかった。



あの時の約束をちゃんと守ってくれてありがとうって、意味も込めて。



ちゃんと、お帰りなさいって言いたかった。



「……ただいま、まりや」



目を細めて、嬉しそうに笑いながら返してくれた、ただいまの言葉。



それだけなのに、すごく嬉しかった。



始まったばかりの同居生活。



さっきまで不安がいっぱいだったのに、いつのまにかそれは消えていて



代わりにドキドキ、ワクワクした気持ちが



私の中に芽生えていた。



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