溺愛王子とヒミツな同居
「そんな顔してない……っ」
こんなことを言いつつも、私の心は安心感で満たされていた。
楽しそうに笑いながら、制服のネクタイを緩める、そんな何気ない姿も色気が漂う。
その姿につい見惚れて、大翔君が私の横に座ったのに気付かなかった。
「何? 俺の顔に何かついてる?」
「ううん、ただ見惚れちゃって」
別に言わなくてもいいことを無意識に口に出していた。
「……無意識かよ……」
「何か言った?」
ほんのり頬が赤くなってるように見える大翔君の顔。
初めて見る照れた様子に、可愛いなんて思ってしまった。
「まりやのエッチ」
予想もしなかった言葉に、ボンッと音がしそうなほどに自分の顔が熱くなったのが嫌でもわかる。
「ち、違うよ! 変な意味じゃなくて」
「じゃ、どういう意味?」