溺愛王子とヒミツな同居
本人は睨んでるつもりだろうけど、それ逆効果だし。
俺から見れば、上目遣いで潤んだ瞳で見られてる感じしかしない。
こういうことを無意識でやってくれるから、本当に参る。
一緒にいて、俺が我慢してることなんて、まりやはこれっぽちも知らないんだから。
静かに息を吐いて、まりやから体を離す。
「まりや、一緒に寝ようか」
1階に下りようと思ったけど、もう少しこの困った顔を見たいという、俺の意地悪心が顔を出す。
「ね、寝るって……まだ夜じゃないよ?」
まさか、真顔で普通の答えを返されるとは……。
まぁ、まりやらしいけどな。
「ふーん。じゃ、今夜は一緒に寝るってことだな」
「えぇ!? い、一緒になんて……無理……っ!」
冗談なのに、何でも本気にするところも昔から変わってない。
あんまりからかうのも悪いと思い、ポンッとまりやの頭に手を乗せる。