溺愛王子とヒミツな同居
見上げた私と目線を下げた彼と、視線が絡まった。
その瞬間、胸の鼓動がドキンと跳ねる。
偶然に目が合っただけなのに、色素の薄い黒色の瞳に吸い込まれそうになって。
強い瞳の力に動くことができなかった。
「……どうかしたか?」
何も言えずに、彼の顔に見入ってしまっていた私は、その声で現実に引き戻される。
「う、ううん……何でもないの」
ジッと見てたから変な奴とか思われちゃったかな。
初対面なのに、印象悪いよね……私。
――キーン、コーン。
SHRが始まる5分前の予鈴が鳴り響いた。
一斉に自分達のクラスに戻っていく生徒達。
「おーい! まりや~! 戻るよ!」
栞が教室の出入り口から私を呼ぶ。