溺愛王子とヒミツな同居
『聞いて驚け! 大翔の家~!』
通話終了ボタンを押そうとした親指がピタッと止まる。
キッチンにいるまりやも、俺の会話の内容が気になるのか、後ろから視線を感じた。
『ビックリでしょ? 今日は珍しく予定なかったから、遊びに行こうと思ってさ。
大翔とも親睦深めないと、愛想尽かされちゃうしね』
「安心しろ。愛想なんて最初から尽きてんだよ。
つーか、お前は何しに来た。今すぐ帰れ」
俺の家に来てるなんて冗談じゃない。
今は誰もいないし、俺がまりやと同居してるなんてバレたら面倒なことになる。
『相変わらず酷いよね、大翔のその言い草。
いくらオレが好きだからって、居留守なんてよくないなぁ。
さっきからインターホン鳴らしてんのに誰も出てこないし』
どうやら俺の家の前にいるらしい光が、電話越しにぼやく。
早くあきらめて帰ってほしい俺は、ぼやき続ける光に短い返事を返すのみ。