溺愛王子とヒミツな同居
自分が暇になったからって、何が楽しくて俺がこいつの相手しなきゃいけないんだ。
話を聞いてるだけでも、物すごい疲労感に襲われる。
盛大に溜め息が漏れそうになった、その時だった。
「大翔君」
小さいけどしっかり聞こえてきたその声に、スマホを握ったまま振り向いた。
ヤバイと思った俺は、ソファから立ち上がって、まりやに近付くと柔らかいその唇に人差し指を当てて、首を横に振る。
キョトンとしながらも、俺の突然の行動に驚いたまりやは、そのまま固まった。
『お前……今どこにいるの?』
それまで今日のデートの予定を断って、俺の家に来るのにどんなに大変だったかという有難迷惑な話をしていた光の声音が真剣なものに変わる。
「どこって……」
考えながら、俺の目はまりやの赤くなってる顔を捉える。
困ったように見てくるまりやの唇に人差し指を押し当てたまま、耳元に唇を寄せる。