溺愛王子とヒミツな同居
「おはよう、栞」
大好きな親友に笑顔を返す私は、
藤沢まりや(ふじさわまりや)
周りからは、よく天然って言われる少しおっちょこちょいな性格です。
「ねぇ栞、また焼けたんじゃない?」
そう尋ねる私に栞は、小麦色の肌に映える白い歯を見せて、ニカッと元気よく笑った。
「気付いた? でも、あたしの黒さが輝くのは、これからだよ。
夏は黒光りするから、久しぶりに会って『誰?』とか言わないでよ?」
まだ4月の半ばだというのに、既に肌に紫外線を吸収してる栞。
どんな日焼け止めも跳ね返すほど、夏になるといつも黒くて、
最強の武勇伝をいくつも持つ、
ある意味で最強の親友。
「また黒くなったら、オセロって呼ばれるよ」
私の言葉に栞は、わざとらしい笑いを漏らした。