溺愛王子とヒミツな同居
「ありがとう。それと昨日のこと、我儘言って迷惑かけてごめんなさい」
大翔君にちゃんとお礼を言ってなかったことをずっと気にしてた私は、一度深呼吸をしてから一息にそう言った。
「誰にだって、苦手なものの一つや二つあるだろ。
まりやの苦手なものは、少し人と違うかもしれないけど、迷惑なんて思ってないし、あんなの我儘の内に入らない。
お前は、遠慮してることが多いんだから、もっと甘えればいいんだよ。
その為に俺はここにいるんだから」
また私の胸が大翔君の言葉に反応して、ドキドキと音を立て始める。
大翔君が向けてくれる表情や言葉は、不思議な力があるんじゃないかって思うほど、私をドキドキさせる。
そんな優しさが嬉しくて、素直に頷いた。
今日も凄く美味しい夕飯に大満足だった私は、後片付けを手伝ってからお風呂に入るまでの間、リビングで寛いでいた。
先にお風呂を済ませた大翔君がリビングに戻ってくる。
「まりや、スマホ貸して」
私の隣に当然のように座ると、大きな手を差し出してくる。
動くたびに私が使ってるシャンプーと同じ香りがして、またドキドキが止まらなくなる。
言われた通り、スマホを渡すと慣れた手つきで何かを操作し始める大翔君。
お風呂上がりのせいなのか、いつもに増してカッコ良く見えてしまう。
「まりや、見すぎ」
その声で、また大翔君に見惚れてしまっていたことに気付いて、慌てて目を逸らす。
「顔、また真っ赤だけど、何考えてた?」
「え? べ、別に大翔君に見惚れてなんかないよ」
言って、自分が墓穴を掘ったことに気付く。