溺愛王子とヒミツな同居
タジタジになりながら、苦しい言い訳を考えていたんだろう光も、俺には一切通用しないということを身を持って知ってるからすぐに観念した。
「転校してくる前日にオレに連絡あったんだよ。
明日からそっちの学校でお世話になるからよろしくって」
こいつにしては珍しく、重い溜め息をつきクラスメイトと仲良く話す祥吾に視線を移した。
俺もその視線を追って一度だけ祥吾を見ると、すぐに光を見る。
「お前もあいつの性格が厄介なことくらい知ってんだろ。
なんで止めなかったんだよ」
「そうは言っても、転校の手続きも済ませたって言ってたし、今さらって感じでしょ?
祥吾のあの性格さえなければ、本当にいい奴なのに……。
あいつ、オレのこと散々言うくせに、自分のがかなりの割合で腹黒いってわかってやってるよね」
腹黒いか……。まぁ、あながち間違ってはないけど……。
俺が女嫌いだと、噂を作ったのは祥吾だ。
2つ目の中学に転校した時に、光と祥吾と同じクラスになって、そんな根も葉もない噂がすぐに流れた。
俺も気にしない性格だったから、言いたい奴には言わせておけばいいと放っておいたのが間違いだったかもしれない。
それまで寄ってきていた女子たちも、いつの間にか寄り付かなくなり、俺としては助かってたけど、その原因が祥吾にあったなんて思いもしなかった。
「あいつが転校してきた理由、聞いてんのか?」
「さぁ。知ってたらまずはお前に教えるって。
オレを誰だと思ってんの?」
「威張って言うことか。チャラ男で女好き、外見ばっか磨いてる変な奴」
「……容赦なく切り捨ててくれる大翔のその潔さ、逆に快感を覚えるよ」
なぜかジーンとしてる光に、ついでにもう一つ付け足してやる。