溺愛王子とヒミツな同居
「変態万年春男。気色悪いんだよ」
「うん。オレ、大翔の愛情の裏返しってわかってるから気にしない」
どこまでもポジティブな捉え方をする親友に、呆れるどころかその精神力の強さをもっと他のところで使えばいいのにとさえ思ってしまった。
「何なに? 2人で何の内緒話してんの?」
クラスメイト達と盛り上がっていたはずの祥吾が、俺と光の肩に腕を回して体重をかけてくる。
「祥吾……。お前には関係ない」
「あー、そういう冷たい言い方する?
……ヒロってまりやの前だとどんな顔するの?」
途端に声のトーンを落として、俺だけに聞こえる声で訊いてくる祥吾をすかさず見つめる。
「そんな驚くことでもないでしょ。ただ、興味があるだけ。
ヒロのことは、何でも把握しておきたいっって意味で聞いてるんだけど」
やっぱ、こいつ……厄介だ。
小さい頃からそうだった。祥吾は、人によって性格を使いわけるという特技を持ってる。
俺に近寄ってくる女のほとんどは、気付くと俺じゃなく、祥吾と仲良くしているパターンが多かった。
仲良くしていたと思ったら、また違う女と仲良くしていて、最初は光と同じで女好きなだけだと思ってた。