溺愛王子とヒミツな同居



それが違うとわかったのは、中学で同じクラスになって半年くらい経った頃。



あいつは、女好きなんじゃなくて、俺に近付いてくる女が気に入らない。



女が嫌いというわけじゃなく、俺目当てで近付いてきた女だけを狙って、俺から遠ざけていたように思えた。



最初は気にも留めなかったけど、光が俺に教えてくれたことからそれが発覚した。



なんでそんなことしてんのかわかんなかったけど、聞いたところで、のらりくらりと言い訳して上手く言い逃げするに決まってる。



祥吾はそういう奴だ。



だけど、小さい頃から唯一違っていたことがある。



他の女とは明らかに態度を変えていた相手。



それが、まりやだった。



俺にバレないようにやってたんだろうけど、まりやへの接し方にだけは、特別なものを感じてた。



会うたびに意地悪をして、まりやを泣かせて、俺に気付かれそうになると慌てて仲良くするフリまでしてた。



よく聞く、好きな子をイジメるってやつ。



あの頃の祥吾はたぶん、まりやに好意を寄せていたんだと思う。



いつも俺の後をついて泣いてたまりやに、どうにか自分を見てほしいって気持ちが常にあったのかもしれない。



それも思い通りにならないし、まりやは泣いてばかりだったから余計に意地悪して……。



自分の気持ちを上手く表現できない奴なのかもしれないけど、それは昔の話であって、今はそうじゃないと思いたい。



「祥吾、お前……なんで転校してきたんだよ」


< 211 / 437 >

この作品をシェア

pagetop