溺愛王子とヒミツな同居
小さい時のことを思い返しながら、気になっていたことを聞いてみる。
祥吾は口元に薄い笑みを作り、すぐに口を開いた。
「そんなの決まってるじゃん。ヒロを追ってきたんだよ。
だって、面白いでしょ。こっちに来れば……また楽しめそうだったし」
何を考えてるのか読めない、たまに見せるこいつのこの表情が俺は嫌いだ。
人に自分の心の中を見せない祥吾が、本当はこっちに来た理由はもっと違うもののような気がしてならない。
上手くごまかしてるつもりだろうけど、もし……まりやに対して何かを考えているとしたら……。
あいつを傷付けることは、俺が絶対に許さない。
「何かしようとしてるんだったら……今回は黙ってないからな」
「ヒロ、目ぇ据わってるし。何かするなんて言ってないよ。
ただ、面白くなりそうだなって言っただけなのに」
わざとらしく肩をすくめ、祥吾は俺の鋭い視線から逃れるようにして自分のクラスに戻っていった。
聞こえないフリをしていた光が、心配そうな表情で俺を見てきた。
「大翔、あの感じだと……祥吾は何か考えてるっぽい」
勘の鋭い光がハッキリと断言した以上、間違いなく祥吾は何かの目的でこっちに戻ってきたことになる。
たぶん、悠二ならその理由の見当はついてるだろうけど、自分の目で確かめないと安心できない。