溺愛王子とヒミツな同居
それでも、俺は何も起きないことを願うしかなかった。
しかしそんな思いは、この後……簡単に破られることになる。
それが起こったのは、夕方だった。
学校が終わり、家に帰ろうと校舎を後にした俺の後ろからそいつは現れた。
「ヒロ! 久しぶりに遊びに行っていい?」
ガバッと俺の首に抱き着いてきた祥吾が耳元で囁いてきた。
「お前、俺の首絞める気? 普通に話かけられないのか」
「普通に話かけたら面白くないじゃん。ヒロの驚く顔とか見たいし」
こいつ昔からこういうところ変わってない。
人がどんな反応するかを凄く楽しんでる。
「ね、遊びに行っていいでしょ? ヒロママにも久しぶりに会いたいし」
「いいわけないだろ。今日は都合悪いから無理」
祥吾が家に来たら、いつ帰るかわかんねーし、下手すると泊まるとか言いかねない。
そうなると、まりやを1人にすることになるから、それだけは絶対に避けたい。
「え? 本当にダメなの?」
小首を傾げて俺より少し背が低い祥吾が見上げて聞いてくる。