溺愛王子とヒミツな同居



それでも、俺は何も起きないことを願うしかなかった。



しかしそんな思いは、この後……簡単に破られることになる。



それが起こったのは、夕方だった。



学校が終わり、家に帰ろうと校舎を後にした俺の後ろからそいつは現れた。



「ヒロ! 久しぶりに遊びに行っていい?」



ガバッと俺の首に抱き着いてきた祥吾が耳元で囁いてきた。



「お前、俺の首絞める気? 普通に話かけられないのか」



「普通に話かけたら面白くないじゃん。ヒロの驚く顔とか見たいし」



こいつ昔からこういうところ変わってない。



人がどんな反応するかを凄く楽しんでる。



「ね、遊びに行っていいでしょ? ヒロママにも久しぶりに会いたいし」



「いいわけないだろ。今日は都合悪いから無理」



祥吾が家に来たら、いつ帰るかわかんねーし、下手すると泊まるとか言いかねない。



そうなると、まりやを1人にすることになるから、それだけは絶対に避けたい。



「え? 本当にダメなの?」



小首を傾げて俺より少し背が低い祥吾が見上げて聞いてくる。


< 213 / 437 >

この作品をシェア

pagetop