溺愛王子とヒミツな同居
「でも、作ったのは私だから味の保証は自信ないよ?」
こんなまりやの顔を初めて見た俺は、クスクスと笑いがこみ上げてくる。
「先に着替えてくる。楽しみにしてるよ」
まだ難しい顔をしてるまりやにそう声をかけ、2階へ着替えに上がる。
部屋着に着替えた俺が1階に戻ってくると、タイミングよくテーブルの上に料理が並べられていた。
まりやが俺の好きなものを作ったと言っていた夕飯は、ナポリタンスパゲティ。
「美味そうだな。いただきます」
椅子に座って、粉チーズを手に取る。
「大翔君が作るみたいに上手じゃないと思うけど」
「俺のために作ってくれたって気持ちが嬉しいんだから、もし不味かったとしてもちゃんと完食してやるよ」
自信がなさそうなまりやに冗談めかして言うと、胃薬を差し出してきた。
どんだけ心配なんだと苦笑しながら、美味そうな匂いと湯気をたてているナポリタンをフォークに絡ませ、一気に口の中へ。
その様子を不安げに見つめるまりや。
食べた感想が凄く気になる様子で、自分が作ったナポリタンに箸もつけずにいる。
「うん、美味い」
「本当に?」
その声に一瞬で不安な表情から、明るい表情になる。
顔に感情が出やすい、本当に自分に素直な奴だな。