溺愛王子とヒミツな同居
「一緒に入る?」
「……へっ!?」
「冗談だよ。早く入ってこい」
案の定、耳まで赤くなったまりやが口をパクパクさせる。
固まるまりやの背中をポンッと押すと、俺から逃げるようにバスルームに消えていった。
冗談なのに、あんな反応されると可愛くて堪らない。
もっと俺のことで困って、もっと近くに行きたくて、もっと触れたくなる。
もっとって、どんどん欲張りになる。
まりやも俺と同じ気持ちならいいのにとさえ思うこともある。
でも、あいつには好きな奴……いるんだよな……。
俺にとっては、幼なじみ以上に特別で大事にしたい奴だけど、まりやにとっては俺は幼なじみでしかない。
俺だけに見せてくれる顔を他の奴に見せたくないなんて、俺の我儘だよな。
俺に向けられてる感情が特別な意味を持たないということに、胸の辺りが苦しくなった。