溺愛王子とヒミツな同居
「お前、その締まりのない顔どうにかしろ」
アホ面を照れもなく披露する光に、呆れてしっかり見るのもバカらしくなる。
「締まりがないとか、失礼だと思わない? てかさ、大翔に大ニュース!
オレとお前、また同じクラス~! どうだ? 嬉しいだろ~」
女によく見せるお得意の営業スマイル。
もう見慣れたけど、俺にまでこんなふうに笑う必要ないだろ。
「嬉しいわけねーだろ。
また一緒のクラスなんて、気が重くて仕方ない」
「ひでぇー。 感情込めなくてもいいからさ、嘘でも光と一緒で嬉しいよとか言ってくれても……」
「俺は、男に優しくする趣味はない。特に光にはな。
それに、この俺がそんなこと言ったら気持ち悪いだろ」
「ははっ。確かにな~。つか、今の特に光はなって何?
口が悪くて冷たい態度とるのは、オレだけ限定!?」
キラキラと瞳を輝かせて、調子にのりそうな光。
めんどくさくなりそうな予感に、あることを思いだした俺は、辺りをキョロキョロと見回した。