溺愛王子とヒミツな同居



——バタン。



玄関のドアが完全に閉まったのを確認してから階段を下りきる。



「あいつ……なんでお前がこの家に1人だってこと……知ってたんだ……?」



同じことを思っていたらしいまりやも、小さく首を傾げながら俺に振り向いた。



こんな時間に散歩なんて言ってたけど、そんな理由をつけてまでここに来た祥吾が何を考えてるのかがわからない。



本当にただの散歩ならいいんだけど……。



「いきなり訪ねてきたから、びっくりして手が震えちゃった」



祥吾が苦手なまりやにとっては、たとえ短時間だったしても2人きりのあの時間は耐え難かったかもしれない。



「悪い。助けてやれなくて」



今作ってる笑顔も無理にさせてるんだとしたら、苦しくなった。



「ううん。大翔君は何も悪くないよ。隣にいなくても、この家に居てくれるんだって思うだけで心強いし」



柔らかい白い頬に手を添えると、くすぐったそうに笑みを浮かべた。



「俺は心配で堪らないけどな。まりやはおっちょこちょいだし」



「酷い……。昔よりは成長したよ」



頬を膨らませて拗ねるまりやに笑いが込み上げてくる。


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