溺愛王子とヒミツな同居
「じゃあさ、オレと大翔も一緒に行ってもいい?
それなら米ちゃんも文句ないでしょ? まりやちゃんもいいよね?」
こういう事態には慣れているのか、いつもと変わりなく女の子を夢中にさせる爽やかな笑顔で尋ねてきた。
「は!? なんでヒロと光まで……」
納得いかない顔で小さく呟く谷山君。
その横で仕方ないと溜め息をついたのは栞だった。
「そういうことならしょうがない。
ま、大勢の方が楽しいし、まりやも安心だろうしね」
「さっすが米ちゃん! 祥吾もそんなぶうたれた顔するなよ。
女の子2人を一人占めなんてこのオレが許すと思ってんの?」
子供みたいに拗ねたように見える谷山君にコソコソと耳打ちをする宮内君を見ていると、それまで黙っていた大翔君が隣にやってきた。
「目に毒だ。あんまりじっと見るな」
そんなことを言って、大翔君の大きな手が私の視界を遮ってしまった。
「ひどっ! 何なの?
オレと祥吾ってまりやちゃんには害虫だとでも言いたいの? 大翔は」
「わかってんなら説明する手間が省けたってもんだ。
害虫なら駆除しても誰も文句は言わねーだろ。
半径1メートル以内に近寄んな」
シッシと手で宮内君たちを追い払う素振りまで見せた大翔君に、抗議の矢が飛んでくる。
「光はともかく、俺は害虫じゃないっての!
こんな女好きと一緒にするなんて心外だ!」
「ちょおっと〜、祥吾く〜ん? 光はともかくって何だよ。“光はともかく”って!!
お前だって人のこと言えないでしょうに。
女の子と仲良くしてるのは変わんないでしょ。
自分のこと棚にあげて、自分だけ逃れようなんて男として恥ずかしくないの?」