溺愛王子とヒミツな同居



やいのやいのと言い合いを続ける2人に栞が雷を落とした。



「うっさいんだよ! 害虫でも何でもいいけど、時間なくなるからさっさと行くぞ!」



私はこういう栞を何度も見てるし、慣れてるからいいけど。



チラッと見ると、隣にいる大翔君は少しだけ驚いた表情を見せただけで後はいつも通り。



あとの2人はポカンと口を開けて、おまけに小さく「ハイ……」なんて返事してるもんだから、おかしくて笑いそうになってしまった。



学校からの帰り道、みんなで立ち寄ったのはお茶ではなく、なぜかカラオケ。



私は楽しめるならどこでもよかったんだけど、栞は絶対にお茶だって言い張って曲げないし、谷山君はカラオケだって言って聞かない。



なだめに入った宮内君はどっちでもいいじゃないと答えたばかりに、2人からどっちの味方すんの!?と反対に怒られて間で宙ぶらりん状態。



オロオロとその光景を見守っていた私の隣で、長く大きな溜め息が聞こえたと思えば。



「お茶もカラオケもしたいなら、カラオケ行けば早い話だろ。ドリンクだって出るんだし。

大体こんな道端で大きな声で揉めるとか、お前ら一体いくつなんだよ」



と、低い声で言い放つと大翔君は有無を言わすことなく、目の前にあったカラオケに迷うことなく入っていき、今に至るという感じで。



それからは誰も揉めることなく、栞、谷山君、宮内君、私、大翔君の順で歌う順番が勝手に回ってるだけなんだけど……。



今はなぜか私と大翔君を抜いた3人のカラオケ大会と化していた。


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