溺愛王子とヒミツな同居



その後は、ずっと不機嫌な大翔君で、宮内君が一生懸命にご機嫌を取っていた。



「俺、トイレ」



ちょうど栞が歌い終わったところで大翔君が席を立つ。



「あ、あたしも行ってこよ〜」



「んじゃ、オレも飲み物取ってくるわ」



栞も続いて、宮内君までいなくなり必然的にこの密室に私と谷山君だけが残されてしまった。



ここまで2人きりにならなくて安心してたのに、こんな急に来るなんてどうしよう……。



目を合わすこともできず、残っていたジンジャーエールをちびちび飲む。



「やけに静かだね、まりや」



いきなり話しかけられて、ビクンと私の肩が跳ねる。



なんて返していいのかわからずに、自分の足元を見つめて俯く。



「もしかして、俺と2人きりで緊張してるの?」



緊張……してると言えばしてるけど、大翔君と一緒にいる時に感じる緊張感とは全然違うもの。



今、感じてるこの緊張感は、また何かされるんじゃないかっていう、不安からくるものの方が大きい。



「ねぇ、聞いてる? なんでそんなにビクビクしてるの?」


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