溺愛王子とヒミツな同居



谷山君の言葉を聞くだけでも、きっと私が想像つかないくらい私の知らないところで、大翔君のことが好きな女の子たちが数えきれないくらい告白したんだ。



引っ越してからの大翔君の8年間を私は知らない。



知りたいなんて、今までだって一度も思ったことなかったのに、どうしたんだろ……。



中学時代の頃のことを話し出す2人の雰囲気に入り込めず、疎外感を感じてしまった。



「……まりや?」



呼ばれてふと顔をあ上げると、意外にも近い距離に大翔君の顔があった。



「……っ」



声が詰まって、出てきてくれない。



私に気付いてくれたことがすごく嬉しいのに、素直に喜べなかった。



「どうした? 具合悪いのか?」



ほら、心配かけちゃってる。ちゃんと違うって言わなきゃ。



「ヒロが女に捕まったりするから、まりやが拗ねてんじゃないの」



「何言って……祥吾、お前こいつに何かした?」



「何も。するわけないじゃん」



何か言わなきゃいけないのに、勝手に不安になっただけだって、言いたいのに……言えない。



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